Virgin

Record Makers’ Rhapsody

vol.3 Virgin

-Z-

ところでその原点となるレコード・ショップの成功の一因になったのが、ヨーロッパからの輪入盤販売でした。ブランスンは、そんなルートを通じ、ドレイパーの奨めから、ドイツのプログレッシヴ・ロック・バンド、タンジェリン・ドリームらともサイン。するとそれらがまた売れ、’70年代半ばヴァージンは急成長を遂げることになります。そんな折、英音楽シーンに押し寄せたのがあのパンクの波。セックス・ピストルズが現れます。
’76年、バンドはまずEMlとサインし、デビュー・シングルをリリース。しかし同年暮れ、TVでのあまりの悪たれぶりに株主が反発し、白紙に。ブランスンはすぐさまその譲渡話をEMIとつけますが、後見人のマルコム・マクラレンが、交渉の約束を反古。A&Mとサインしてしまいます。ところがこれもわずか1週間後破棄されることに。マクラレンは、それだけで125,000ポンドの違約金をせしめたといわれます。ヴァージンがサインしたのはその後でした。そして’77年初夏、そもそもはその春A&Mからの発売後突如お蔵いりとなった、エリザベスII世の25周年記念祭に泥を塗る曲”God Save The Queen”を再リリース。予想通り、即、放送禁止曲となりましたが、英国内シングル・チャートで最高第2位にランク、発売と同時に10万枚オーヴァーのベストセラーにもなりました。
ヴァージンは、以後英ニューウェイヴの発信地的色彩を持つようになります。ヒューマン・リーグ、JAPAN、シンプル・マインズ、そしてカルチャー・クラブら、ラインアップもその線でどんどん充実化。フィル・コリンズらA級のスターも続々得て、’80年代半ばには英有数のインディーズに育っています。A&Mの優秀な人材も獲得し、本格的な米進出も含め大躍進。カッティング・クルーの”(I Just) Died In Your Arms”で念願初のBillboard HOT100のNo.1ヒットをつかみとります。
’87年、スティーヴ・ウインウッドと$13,000,000でサイン。さらに’91年、ジャネット・ジャクソンと$32,000,000でサインと、スーパースターも次々、同社の傘下に。そして’92年、目一杯ふくらんだヴァージン”熱気球”は、英Thorn-EMIへ$961,000,000で売り渡されることになります。
そういえば、トップが熱気球で飛ぶなどそのリラックスぶりは、正にロック的感覚。そのへんのフィーリングがロック的ショウビジネスに合ったんでしょうね。で、大成功。何てったって、映画、書籍、航空までも系列内に持つレコード・レーベルなんかほかにありません。コンドームだって売ったりしてたんですから……。

’74 Tubular Bells Mike Oldfield

’77 God Save The Queen Sex Pistols

’82 Don’t You Want Me Human League

’82 Ghosts JAPAN

’83 Temptation Heaven 17

’84 Karma Chameleon Culture Club

’84 Against All Odds (Take A Look At Me Now) Phil Collins

’85 Don’t You (Forget About Me) Simple Minds

’86 Invisible Touch Genesis

’86 Sledgehammer Peter Gabriel

’87 Catch Me (I’m Falling) Pretty Poison

’87 Heart And Soul T’Pau

’87 (I Just) Died In Your Arms Cutting Crew

’88 Roll With It  Steve Winwood

’88 Shatterd Dreams Johnny Hates Jazz 

’89 Straight Up Paula Abdul with the Wild Pair

’89 Back To Life Soul II Soul

’89 Buffalo Stance Neneh Cherry

’90 Can’t Stop After 7

’91 I Touch Myself Divinyls

’93 Can’t Help Falling In Love UB40

’93 That’s The Way Love Goes Janet Jackson

’94 Return To Innocence Enigma

’95 Boombastic / In The Summertime Shaggy featuring Rayvon

’96 1979 The Smashing Pumpkins

’97 Wanna Be Spice Girls

’01 Again Lenny Kravitz

’01 Loverboy Mariah Carey

*レーベルカラーが強かった20世紀内の主なアーティストの世界的ヒット代表作1曲に限る
*年は基本的なヒット年
*マライア・キャリーはVIPアーティストの一時在籍例として

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