Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡
いつまでも色あせぬ極私的不朽の佳曲選。今回取りあげるのは……
Careful 3 : Sukiyaki / Kyu Sakamoto
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我が国の国民的愛唱歌にして、全世界で最も良く知られる日本人のポピュラー・ソングといったら、何でしょうか? 言うまでもなく”Sukiyaki”ですね。もしも新たなる日本国国歌を決めるとしたら何がふさわしいか……というようなアンケートの常連曲でもあります。50年程前のもろ懐かしの歌謡曲なのに、青少年が苦もなく歌えてしまう、正にスタンダード曲。2011.3.11の震災後、世界中からの励ましのメッセージと共にこの歌がそえられるケイスも多くみられます。フツーの人のみならず、スター・アーティストからも。つまり、これが全世界でスタンダード……とまでいかずとも、結構知られている曲であることを示しています。ほかにありますか、そんな歌謡曲?
というわけで、辿ってみましょう、”Sukiyaki”ヒットの旅物語。それは、我が国のTVヒストリーの曙を彩る伝説的音楽番組『夢であいましょう』(NHK)を出発点として始まりました。同番組の呼び物の一つだったのが、永六輔作詞&中村八大作曲という、”日本レコード大賞”第1回大賞コンビによる月ごとの書き下ろしのオリジナル・ソング。そしてその1曲として、1961年の10月&11月、坂本九により歌われたのが、”Sukiyaki”……もとい、オリジナル・タイトル「上を向いて歩こう」でした。”ウヘ ウォ ムフィヒテ アハル コゥウォウォウォ”という独特の節回しなど新鮮味も感じられ、大好評(ちなみにこの歌い方、永六輔は妙に西洋音楽被れしたものと当初忌み嫌いましたが、実は坂本九の母のやっていた小唄系の流れをくむものでもある由、インタヴューで語ってもらいました。猶、最後部を引き延ばしたのは中村八大発案らしい)。2か月連続で歌われるという、番組で唯一の”今月のうた”となりました。当然彼にとってもトップ・スターダムへのしあがるビッグ・ヒットになっています。
坂本九は、1941年12月10日、川崎生まれの我が国有数のポピュラー・ヴォーカリスト。ダニー飯田とパラダイス・キングの一員として頭角を現し、17歳でレコード・デビュー、’60年に初ヒットを放っています。ソロ・シンガーとして出世作にもなったこの曲のほかにも、’63年の日本レコード大賞の作曲賞受賞曲「見上げてごらん夜の星を」等々、ヒットは多数。映画出演等も多く、気さくなキャラクターでTVショウのホストなども務め、一時期はTV7本、ラジオ2本のレギュラーを持つ国民的スターでした。’85年8月12日、飛行機事故に遭い、43歳にしてこの世を去りましたが、残された歌は今もなお愛されています。
<つづく>
そういえば、最近サントリーのCMでこの歌が使われているね…こんな時に酒なんて呑んで良いのかという自粛ムードを汲み取る形で、とてもシンプルな作りになっている。いい曲選んだなあ、って、私は思ったけど……♪思いだす春の日、独りぼっちの夜♪ かあ(´-`).。oO 佳朋
たしかに、いいよね。こんなふうに綴ってくれると、ふだんあまり好きじゃない人が歌っていてもよく聴こえる。