Record Makers’ Rhapsody
先週号からの続きです……
vol.2 STAX / VOLT
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そんな中、サム&デイヴ、ジョニー・ティラー、エディー・フロイドら、スターも次々現れます。とくにオーティス・レディング。’62年、ジョニー・ジェンキンス&ザ・パイントッパーズのオーディションに車の運転手としてついてきた彼は、オーディション終了後、2曲特別に歌わせてもらい、オリジナルの”These Arms Of Mine”でスチュワートの心をとらえます。そして新傘下レーベルVOLT(ヴォルト)の有望株として迎えられ、やがてスタックスの大黒柱へとのしあがったのです。モンタレー・ポップ・フェスでセンセイションを巻き起こした’67年の暮れ、飛行機事故で亡くなってしまいますが、死後、発表の遺作”(Sittin’ On)The Dock Of The Bay”が、同社史上最高のヒット作に。以後彼の人気振りはますます盛り上がったことは良く知られています。
’68年、アトランティックと訣別後も、スタックスはヒットを飛ばしつづけました。’72年にはなんと“ワッツタックス”という、後に映画化された1大チャリティ・ソウル・フェスティヴァルも行います。しかし、音楽性の核は、アーティストとしてトップ・スターにもなっていたアイザック・ヘイズへ移り、それまでのメンフイス・ソウル色はだんだん消えていきました。やがてルーズな経営管理体制が災いして経済的問題も生じ、ついに’76年倒産に至ります。
というわけで、しまいにはアーティスト側に訴えられるなど、死に際を汚してしまった、サザン・ソウルの雄スタックス。どちらかというとオトナの黒人層に受けるものが多かったため、販売実績面で白人層にもかなりの受けをとっていたモータウンにはかないませんでした。さらにアトランティックとのいざこざもあって、メジャー・レーベルともなりえずに終わっています。しかし、ソウル・ミュージックのベースをかたちづくったレコード・メイカーとして称えられるべきインディーズであることは疑いありません。
Gold Singles on STAX / VOLT
1962 GREEN ONIONS BOOKER T. & THE MG’S
1963 WALKING THE DOG RUFUS THOMAS
1966 KNOCK ON WOOD EDDIE FLOYD HOLD ON, I’M COMING SAM & DAVE
B-A-B-Y CARLA THOMAS
1967 SOUL MAN SAM & DAVE SOUL FINGER BAR-KAYS
1968 (SITTIN’ ON) THE DOCK OF THE BAY OTIS REDDING
WHO’S MAKING LOVE JOHNNIE TAYLOR SOUL LIMBO BOOKER T. & THE MG’S
1969 TIME IS TIGHT BOOKER T. & THE MG’S
1971 MR. BIG STUFF JEAN KNIGHT THEME FROM SHAFT ISAAC HAYES
RESPECT YOURSELF STAPLE SINGERS
1973 IF YOU’RE READY STAPLE SINGERS
I BELIEVE IN YOU (YOU BELIEVE IN ME) JOHNNIE TAYLOR
*STAX / VOLT / ENTERPRISEファミリーのシングル・ヒットで、RIAAにゴールド・ディスクと認められたもの(後に認められたものも含む)
