Aquarius / Let The Sunshine In

Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡

先週号からのつづきです……

Careful 2 : Aquarius / Let The Sunshine In /// The 5th Dimension

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しかし、レコーディングでプロデュースをつとめるボーンズ・ハウは、あまりにも短く、1曲として完成品でないものをレコーディングするのには、あまり乗り気とはいえず。ショウを観ながらどうしたものかと考えあぐねましたが、やがてその短い曲に、エンディングの曲”The Flesh Failures (Let the Sunshine In)”終わりの3小節分をプラスすればうまくいくと思いつきます。ところがその長さがどうにも縮まらず、初めのうちは7分くらいになってしまったとか。なんとかそれを縮めてやっと4分50秒ほどのシングルにしたものの、ラジオでプレイしにくいといわれ、さらに3分前後のヴァージョンを二つ作ったんだそうです。
つまるところ長さなど大したことではありませんでした。リリースするやいなやそのシングルは爆発的にヒットし、1969年の春、Billboard HOT100で6週連続No.1をマーク。セールスも2百万枚突破し、グラミー賞“レコード・オブ・ザ・イヤー”もかちとっています。尚、ブロードウェイ・ミュージカルの曲でNo.1ヒットになったのはこの曲と、ルイ・アームストロングによる『ハロー・ドーリー』のタイトル曲の2曲しかありません。

ザ・フィフス・ディメンションは、米白人ロック系シンガー・ソングライター、ジョニー・リヴァースのつくったレコード・レーベル”ソウル・シティ”のアーティストでした。そして、基本的にイージー・リスニングなタッチだったため、白人受けをねらった、と思われがちですが、ライヴたたきあげの”芯のようなもの”をもっています。”芯”……言いかえれば、ソウルですね。そんな彼らのふくいくたるヴォーカルが、5人5色の絵の具の如くカンヴァスにふくらみます。エレガントなポップ・ロックにのっかって、ファンタスティックに、エキサイティングに、ドラマティックにキマル音世界がすばらしい。目を閉じていると、天空高くどこまでもつれていってくれそうな……。まさしくこれは彼らのために生まれた曲でした。<了>

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