SARAFINA!

Review Archives Revival

Musical”SARAFINA”<1992>

-Z-

今年春、デクラーク大統領の下、南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離政策)は幕が引かれました。しかしその政策の弊害で、識字率5割を切る黒人は、当然大学進学もままならず、未だ失業率も高いままです。テーマの一つでもあったネルソン・マンデラ氏の釈放前、1987年に初演された、ムボンゲニ・ンゲマ作の反体制ミュージカル『サラフィナ!』は、それだけに政策消滅後も現実的意味をもっています。“旧”黒人指定居住地区タウンシップに住み、依然、貧困のなかであえぐ黒人たちが、真の生活権を取り戻す日までは。

劇団員たちは、「祖国の黒人の生活を知ってもらいたい。こんなことが本当に行われてきたのかと。ストーリー、ダンス、音楽を通じ、黒人の若者が自由を望む思いを酌みとってほしい。そして、助けてもらいたい」と。それをこのミュージカルで訴えたいといいます。自らがまさしく犠牲者。それゆえに、現実感があります。実際今も、「一年のうち10ヵ月仕事がないことも珍しくはない」という彼ら。トニー賞候補にもなった国際的作品の出演者であるスターにしてそのありさまなのですから。

ジャズ・フュージョン的要素と米黒人音楽をべ一スに、タウンシップ産の伝統的音楽ンバカンガが交わった音楽性も、民族的なテーマを外さずに、世界中で受け入れられるべく考えられたもの。それが「幼い頃教会でゴスペルを歌い、R&Bを楽しんでいた」ミュージシャンたちにもすんなり受け入れられ、「それまでは顧みなかったンバカンガの再発見」にもつながったのです。

そんなわけで、南アの最先端黒人文化も司る『サラフィナ!』。これを機に確かめてみたい。今もなお反アパルトヘイトを唱えつづける底に潜んでいるものを。そしてその稀有な音楽の魅力の秘密も。

<1992年アデレード・共同通信文化部寄稿コラム>文体含む一部削除改変

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