Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡
いつまでも色あせぬ極私的不朽の佳曲選。栄えあるその一曲目は……
Careful 1 : My Favorite Things / John Coltrane
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「マイ・フェイヴァリット・シングス」……オリジナルもいいですが、やはり私はジョン・コルトレーンによるジャズ・プレイが忘れられません。それもズバリ、アルバム『マイ・フェイヴァリット・シングス』(Atlantic)にタイトル曲としてフィーチャーされた初録音ヴァージョンがいいですね。コルトレーン・ジャズの出発点ともいわれる1960年10月録音の同作品。ソプラノ・サックスで、タイトル曲のほか、「サマータイム」などおなじみの曲を取り上げ、彼の代表作の一つにも数えられています。ラヴィ・シャンカールにインスパイアされたといわれるプレイは、インドのラーガ風なムードも。うっかりしているといつしか桃源郷にいるかのような思いにとらわれたものでした。マッコイ・タイナーのピアノも光ります。寄せては返す波の如く、しなやかに躍る音。“海”を感じさせられます。
十八番というくらいですから、他にもたくさんの収録作があり。主なものをあげると、1『ライヴ・トレーン〜ジ・ヨーロピアン・ツアーズ』(Pablo ’61年〜’63年録音)、2『バードランドのコルトレーンとドルフィー』(Vee Jay ’62年)、3『セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス』(Impulse! ’63年)、4『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン!』(Impulse! ’66年)、5『コルトレーン・ライヴ・イン・ジャパン』(Impulse! ’66年)、6『オラトゥンジ・コンサート:ザ・ラスト・ライヴ・レコーディング』(Impulse! ’67年)。さらに、ヨーロッパ盤、および海賊盤などもろもろ含めると、名のあるものだけで十数作になってしまいます。さすが、十八番。
ライヴゆえのエネルギッシュなプレイが多く、3などもなかなかいいですが、初演盤に比べるとフリーに寄ってくるのが好き嫌いをわけるでしょう。2はエリック・ドルフィーがいい味だすも、音の悪いのが難。日本人としてはとりあえず東京厚生年金会館でレコーディングされた5がもうひとつの聴きものといえるでしょう。<つづく>
